大人なのに?絵本の楽しみ
絵本は子どもが読むもの?
そう決まっているわけではありません。だって、描いているのは大人なんですから。大人が読んだって「いい物はイイ」というわけで、わたしのお気に入りの絵本を紹介したいと思います。
佐野洋子の絵本
佐野洋子さんは、ご存じの通り、詩人の谷川俊太郎さんの連れ合いだった人です。寂しいことに、最近亡くなってしまいました。絵本だけでなく、エッセイも歯に衣を着せぬ痛快な言い回しが大好きでした。とくに、子どもの頃の話は、自分と似たようなところがあって、楽しく読んだ記憶があります。
百万回生きたねこ
佐野洋子さんの絵本は何冊も持っていました。風変わりな作品もあって、おもしろいんです。「おじさんのかさ」「ねこいるといいなあ」「おぼえていろよ大きな木」「ふつうのくま」「空とぶライオン」などがあります。「空とぶライオン」は、小学校の国語の教科書にも載ったことがありました。佐野洋子さんの絵本の中で最も有名で、素晴らしいのは「百万回生きたねこ」だと思います。わたしは、この本に初めて出会ったときに、救われた感じがしました。それまで、わたしも、このねこのようだったから。「おれは、サーカスのねこだったんだぜ。」なんて言って自分のできることを自慢して、しろいねこの歓心を買おうとするところが、自分にそっくりでした。ねこは自分の事が一番好きで、飼い主なんか大嫌いだったというところも、似ていました。だれにも心を開かなかった。そんなねこが、最愛のねこに出会って、変わっていきます。そして、最愛のねこが死んで、泣いて、泣いて、自分の命も果てる。愛すること、愛されることで、自分が自分のままでいられて、虚勢を張ることも必要なくなります。「、、、なんか大嫌い。」ということもなくなります。たくさん生きたねこでしたが、本当の意味では「生きていなかった」といえます。この「百万回生きたねこ」に出会って、心を打たれた人も多いと思います。また、何度も読み返すことで、さらに気づくこともあるかもしれません。
C.V.オールズバーグの絵本
オールズバーグの絵本は、とにかく絵が素晴らしく、画面の切り取り方がうまく、光と影を効果的に使っていて、引き込まれます。映画になった「ジュマンジ」もそうです。オールズバーグの手法は、アップにしたり、背中から見せたりと、まるで映画のワンシーンを切り取ったようです。作品はたくさんありますが、不思議なものばかりですが、中でも「THE SWEETEST FIG」」邦題は「まさ夢いちじく」も、おもしろいです。
くいしんぼうのあり
原題は「TWO BAD ANTS」邦題では「二匹のいけないアリ」または「くいしんぼうのあり」で出ています。内容も面白いのですが、挿し絵に惚れます。
魔法のホウキ
この絵本も、挿し絵が素晴らしく、本のカタチも特徴的です。魔女が登場するも、顔は描かれていません。モノクロームの色合いも、古びているような不思議な感じを出しています。絵本の棚に入れておきたい1冊です。
そのほかのお気に入りの絵本
ずうっとずっと大好きだよ
小学1年生の国語の教科書に載っていました。犬と少年の絆を描いた見事な絵本です。飼っていた犬は年をとって死んでしまいますが、これまでも「ずうっと」そして死んだ後も「ずっと」犬のことが「大好き」なんだ。ということで、この題名になったんじゃないかと私は解釈しています。見事な訳だと思います。
てぶくろを買いに 新見南吉
名作は、生き残るんですね。新見南吉さんは若くして亡くなってしまいましたが、いい作品を残しています。「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」は有名ですがそのほかに「牛をつないだ椿の木」や「おじいさんのランプ」があります。どちらももすぐれた作品だと思います。とくに「おじいさんのランプ」は、大人になってから読んだ方がずっと心にしみます。絵本ではいいのがあまり出ていません。岩波文庫の「新見南吉童話集」でどうぞ。「てぶくろを買いに」を買うなら、黒井健さんの挿し絵の絵本がおすすめです。他の絵本は、もっとマンガチックです。黒井さんの絵は素晴らしすぎるので、買うならぜったいこれ。新見南吉・黒井健の絵本でもう一つ同じタッチの素晴らしい絵本があります。「ごんぎつね」です。こちらもぜひどうぞ。将来、自分も新見南吉のような童話を書きたいと思ってしまいます。
猫の事務所 宮澤賢治
子ども向けというより、大人向けの絵本です。主人公の「かまねこ」が、職場でいじめられます。最後には、ホッとする結末ですが、昔も今もパワハラは、あるんですね。
虔十公園林 宮澤賢治
これも隠れた名作でしょう。猫の事務所と同じように、虔十(けんじゅう)という主人公が、みんなに馬鹿にされます。馬鹿にされても、反対されても自分のやりたい事をやり通して、何十年後かにはそれが立派な業績になるというお話ですが、途中はせつなくなります。
うちは精肉店 本橋成一
この本は写真絵本です。命をいただくことの意味を問いかけます。今の社会では、汚いもの、汚らわしいものがかげに追いやられ、見えないものにされていますが、本当に人間が「生きる」ために必要な仕事は手作業によるのが筋じゃないかと思います。生きるとは何か、肉を食べるとはどういうことかを、子どもたちにも伝えたい。そのためにこの本が出発点となるでしょう。
ぼく、とりをかっていい?
もう絶版になってしまったのでしょうか。アマゾンなどでは安価で売っていますが、、、。ビンボという少年が「とりをかっていい?」と両親に聞きます。でも、ダメと言われると、「じゃあ、ぼく死んじゃうもん。」と答えます。そして鳥を飼うことが許され、ビンボが連れてきた鳥はなんと、、、。この続きが読みたくなりますね。娘が暗唱していた絵本です。