偏屈な哲学者に夢中【哲学者中島義道がおもしろい】
中島義道という人はああまり有名でないから、知らない人も多いと思います。出のその人の著作をちょっとでも読めば、面白さが分かります。今まで自分がそうしなければいけないと思っていたこと。思い込まされていたことが、間違いと分かり、すべきことが減ります。子どもをもうけなければいけないとか、結婚しなければいけないとか、働かなければいけないとか、、、。そんなことはどうでもよくなります。親や先生に言われてきたこと。例えば誰かのためにならなければいけないとか、、、。ひとに迷惑をかけてはいけないとか、、、。未来の人類のために何かをなすべきとか、、、。地球の環境のために、、、とか。それらは全て、意味がないことだと説きます。小さなことで悩んでいる人が多いので、そんな人のための本を書いています。みんながそうすることを自分もするとラクになりますが、、、。正義の名のもとに自分を棚に上げてしまって、相手をコテンパンにやっつけようとする「正義ゲーム」に加わるのはやめましょう。自分本位で生きていい。わがままでいい。協調性なんて必要ない。どれも気持ちよく響きます。自分がこれまでに躊躇したことは全て、周りのことや人に迷惑が掛からないかどうかを考慮してきたもの。実はその裏で、自分がまわりに取り残されてしまわないように、疎外されてしまわないようにするための方策だったのではないかと思わされます。その狡さを中島氏は指摘します。そんなことをここで言ったら角が立つ。そんなことも平気で言えます。人が煙たがるようなことも正直に主張します。そこがとても痛快で、溜飲が下がる思いです。是非一読していただきたい本を紹介します。
孤独について 文春文庫
どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか 角川文庫
不幸論 PHP文庫
人を愛することができない マイナスのナルシスの告白 角川文庫
カイン 自分の「弱さ」に悩む君へ 新潮文庫
私の嫌いな10の人びと 新潮社
これを読むと「確かに」と思います。中島氏が嫌いな人は、①笑顔の絶えない人②常に感謝の気持ちを忘れない人③みんなの喜ぶ顔が見たい人④いつも前向きに生きている人⑤自分の仕事に「誇り」を持っている人⑥「けじめ」を大切にする人⑦喧嘩が起こるとすぐに止めようとする人⑧物事をはっきり言わない人⑨「おれ、バカだから」と言う人⑩「わが人生に悔いはない」と思っている人確かに、こういう輩はいます。気持ち悪いです。なんだ他人の尺度で判断・行動していきつくところではないでしょうか。人間はそんなにカッコよいものではありません。窮地に立たされてしまえば、どんな汚いことでも醜いことでもやってしまうのが人の性です。そのように生きてきた人たちの末裔なのです。ずるがしこく、狡猾で、意地汚く、簡単に親友も裏切れるような生き物が人間です。中島氏は、深い洞察と、これまでにある常識をすべて疑ってかかって考えています。ニヒリズムの中に、磨かれた歓声と、感情を抜きにした思考が光ります。自分はこれほどまでにとがった生き方も考え方も出来ませんが、言っている意味は分かります。つまり自分の責任は自分で取れということでしょう。誰のせいにもしない。誰のためにもならない。誰のためにも生きない。偽善ごっこはしない。
戦う哲学者にエールを送ります。本を紹介しましたが、詳しい説明は省きました。
うるさい日本の私 新潮文庫
この本の中で最も面白いのは、
「優しさ」という名の暴力という章です。「優しい人」とは、人に「優しさ」を期待する人なんだそう。また、「人にされたくないことは、人にするな。」というルールの危険性も指摘しています。このルールは。自分と他人がおおよそ同じ考え方や感受性を持っているということを前提にしていて、大多数の人たちの暴力がここに存在すると言います。「いじめ」もまさにこのような大多数の勢力によるものでしょう。「思いやり」や「優しさ」を前面に出して説く人の目は節穴だと言います。実に痛快。さらに中島氏は、日本古来の美徳を全部捨ててみれば?と説きます。そこでこのような提案をします。①悪口や中尉はすべて本人の前で言う。②自分をへりくだる言葉遣いをやめる。③相手を傷付けたり心配させたりするから言わないということをやめる。④社交辞令は避ける。⑤他人に誤解された場合は弁明する。⑥相手の話が分からなかったら、質問する。⑦自分の考えを率直に述べる。⑧他人の発した言葉の裏にある考えや感情を読み取ろうとしない。これらは、本当に勇気のいるものです。みんながみんな大人ならばこれでうまくいきそうですね。
私の嫌いな10の言葉 新潮文庫
これも、働いているときによく耳にした言葉です。中島氏の嫌いな言葉とは、①相手の気持ちを考えろよ!②ひとりでいきてるんじゃないからな!③おまえのためを思って言っているんだぞ!④もっと素直になれよ!⑤一度頭を下げれば済むことじゃないか!⑥謝れよ!⑦弁解するな⑧胸に手をあててよく考えてみろ!⑨みんなが厭な気分になるじゃないか!⑩自分の好きなことが必ずあるはずだ!やっぱりどれも言われたことがあるようなセリフですね。気持ち悪いです。この本も痛快です。「ああこんなことだったのか。」と納得させられる本です。
狂人三歩手前 新潮文庫